mikapen’s diary

アメリカに住んでいます。旅行と読書と音楽が好きです。私のくだらないお話を聞いてください。

初めて小説を書いてみます4

みかぺんです。

 

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大きな粗相をすることなく、午前の面接は終わった。午後の面接に備えて、駅の構内にあるベーカリーで小倉トーストを口に運ぶ。いつのまにか一人での食事にも慣れてしまった。黒い就活バックにぶら下がるピンクのお守りが、聡と一緒に行った伊勢神宮の思い出を呼び覚ます。あの頃はまだ、遠距離恋愛になるなんて微塵も思っていなかった。聡は名古屋のメーカーに入社したのに、いきなり東京支社の配属になってしまったのだ。お互い実家が近くて、このまま名古屋で二人仲良く生涯を添い遂げるんだろうと安心していただけに、この現状は美雨にとって大誤算だった。
聡と次に会う予定は、まだ無い。毎日電話しているものの、歓迎会だの研修だのと言っては、すぐに切られてしまうので寂しさが積もる。かといって、新入社員で頑張る彼に、かまってほしいと我がままを言うのも気が引ける。そばにいたいだけなのに。いったいこのままどうなってしまうのだろうか。夢や希望の文字が並ぶ就活の資料を読んでいるのに、暗い気持ちを抑えきれないのであった。

 

☆☆☆

 

《つづく》